番目のアクセスありがとうございます Last Modified on 15 Nov. 2002
韓国の最新電子申告事情
本年9月24日から27日の日程で、金融機関系のシンクタンクの調査員と一緒に韓国の最新の電子申告事情について調査をしてきたのでその概要を紹介したい。
1.所得税や法人税の申告について
韓国の電子申告は、すでに2年間ソウルで源泉所得税と付加価値税申告に限って実施されてきたが、個人の所得税申告や法人税の申告に電子申告を今すぐに導入する計画はない。
年末調整制度(清算確定申告といわれる。)を廃止して、給与所得者個人が所得税の電子申告をするということは難しいということ。また、税務士(日本の税理士と同じ。)を介さないで個人事業所得税や法人税の電子申告は考えられないということである。ただし、所得税や法人税については、来年下半期からプログラム化の予定とのことであった。
2.ホーム・タックス・サービス(Home Tax Service, HTS)
本年4月から試験的にホーム・タックス・サービス(HTS)が開始されたが、この10月から本格的に実施されることになった。自宅や事務所に居ながらにして、国税庁のHPにアクセスすることによりインターネットで申告できるというものである。サービスの対象となる項目や内容は次のとおりである。
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項 目 |
内 容 |
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電子民願証明 |
事業者登録証明、納税証明。銀行、農業協同組合、クレジット・カード会社等、6,078の金融機関が照会可能。2002年10月からは休・廃業事実、納税事実、所得金額証明を追加。 |
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電子告知 |
付加価値税予定告知。2002年10月より全税目に拡大。 |
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電子納付 |
付加価値税予定納付。平日午後3時以降(国民銀行は午後4時30分以降、農協等の産業組合金融は午後5時以降)、土曜日及び日祝日はり要できない。2002年10月より全税目に拡大。 |
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電子申告 |
源泉税、特別消費税、酒税の試験運営。2002年7月に全国の税務代理人、2002年10月には全納税者・税務代理人に拡大。 |
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モバイル・サービス |
付加価値税の申告・告知・納付・還付案内。ハングルで40文字以内の簡単な内容。2002年10月より全税目に拡大。 |
HTSサービスでは、納税通知書が電子メールで送付される。書類は送らない。各種証明書も認証機関にメールで請求すれば、国税庁から認証機関に証明書が電子送付され、認証機関のサイトで入手することができる。なお、画面上に出る国税庁の電子署名は法的効力がある。
3.電子申告のデメリットについて
税務士事務所で聞いた電子申告のメリットとしては、申告書の提出や郵送の手間がなくなったこと、また、紙の量が削減されたことくらいであり、むしろデメリットの指摘が重要である。
・トータルで見るとコスト削減よりもコスト負担増の方が大きい。
・ピーク時の集中。反応が悪くなり待機時間が長くなる。センターのホストがダウンしたこともある(これまでに翌日まで申告期限が延期された事が2回あった)。
・インフラ整備コストの負担。高度なPCスペック(586以上)が要求されたため、PCを新しく購入。事務所では複数のPCをLANで接続する費用負担も発生する。
・ランニング・コストの負担。韓国の電子申告はADSLの利用を前提としたプログラムなので、ADSLを利用せざるを得ない。また、電子申告に関する認証書をもらうために毎年手数料(約2,500円相当)を支払うことが必要。
・チェック項目の細かさ。導入当初はチェック項目が多く、時間がかかった。チェックした添付資料(申告書別表に相当)が不備だと加算税を徴収されるケースもある。ただし、この点はその後改善された。
・PCトラブルへの救済措置の不在。国税庁のサーバーがダウンした場合は翌日まで申告期限が延期されるが、ユーザーPCがダウンしても保護されるような制度はない。とくに、申告期限日の夕方以降、国税職員が退庁した後にトラブルが発生するような場合は一切対応してもらえない。税務士側ではリスク・ヘッジを考えて、申告期限日前に作成できたものはまず電子申告してしまい、ギリギリのものは電子と紙の両方で提出するようなこともある。法律的にユーザーPCの状況を客観的に評価して延期措置をとれるような救済制度が必要。これがないと電子申告へのインセンティブが薄れる。
4.今後の展開
源泉所得税のように1枚で申告できるような税目では、個人の納税者でも申告は可能と思われるが、付加価値税のように何枚もの資料が必要となる税目のものや課税標準の計算が必要なものについては、本人が電子申告処理をするのは難しい。専門家による代行は必要である。
(税理士 長谷川 博)